スターリンゴシック様式
ロシアは1930~1950年にかけて西側のニューヨークの摩天楼に対抗した摩天楼をモスクワに作ろうと画策しました。そんな動向の中で、東側固有のスターリンゴシックと呼ばれる特徴的な建築様式が確立しました。もともとは高さ415mのソビエト宮殿のデザインを元にしています(ソビエト宮殿自体は基礎まで作ったけど結局建設中止)が、中央に尖塔を置き下層に行くにしたがって床面積が広がる低重心のどっしりしたスタイルが特徴です。窓や装飾は縦のラインが強調され低重心でありながら精悍な雰囲気があり、圧倒的な存在感があります。
セブンシスターズ
スターリンゴシック建築の中でモスクワにある特に大型の7つの建物はセブンシスターズと呼ばれています。何気に2000年代に入っても匹敵する大きさのスターリンゴシック様式の建物も作られており、今後姉妹が増えるかもしれません・・・
過去2回のモスクワ訪問で6か所訪れており(といっても全て中に入れるわけではないので近くで見るだけのものもあり)、今回の訪問でようやく最後の「文化人アパート」を訪れ、全てのセブンシスターズを制覇しました。
背の高い順にご紹介します。
モスクワ大学(Main Building of Moscow State University)
- Construction: 1949-1953
- Height: 235m
- Floor Counts : 36
- Use: Education
- Architects: L. V. Rudniev, S. E. Chernyshev, P. V. Abrosimov, A. V. Khriakov
- Constructor: V. Nasonov
2014年雀が丘から撮りました。
その時は異常気象の猛暑で建物近くにまで行く気になりませんでした。せめて電線が被らないとこまでは近づけばよかったと今になって思います、いつかまた取り直そう・・・
高さ235mでセブンシスターズの中で一番の規模です。数多の天才を生み出したモスクワ大学の本館です。高さもさることながら裾野もすごく広く左右に約450mの幅があります(当然この写真では入りきっていません)。
ウクライナホテル(Uklaine Hotel)
- Construction: 1953-1957
- Height: 206m
- Floor Count: 34
- Use: Hotel
- Main architect: A. G. Mordvinov, architect of residential part (side wings) V. G. Kalish, architect of stylobate V. K. Oltarzhevski
- Engineers: P. A. Krasilnikov, V. A. Saprykin
2012年に訪れました。
最寄り駅がキエフ駅(キエフはウクライナの首都)だからでしょうか、ウクライナホテル(現在の運営はラディソン)です。内装もウクライナに関係した装飾になっているようです。中堅どころのホテルチェーンであるラディソンなのにお値段はなかなか高めです。
芸術家アパート(Building on Kotelnicheskaya Embankment)
- Construction: 1948-1952
- Height: 174m
- Floor Count: 33/B1
- Use: Residential
- Architects: D. N. Tchetchulin, A. K. Rostkovsky
- Structural engineer: L. M. Gohman
これは芸術家向けアパートだったということもあり芸術的です。
左側の先頭の部分は6角形、中層のあたりはトライスター型(ブルジュハリファと同じような構造)になっています。裾野の部分は、川沿いの部分は見えていますが、反対側にも同じような低層部分があります。今でも住宅として使われており、売り物件も結構あります。川沿いで眺めも良さそう、クレムリンやワシリー寺院を臨める部屋もありそうです、駅から遠いのが唯一かつ決定的な弱点です。
ロシア外務省(Ministry of Foreign Affairs)
- Construction: -1953
- Height: 172m
- Floor Count: 27
- Use: Office
- Architect: V Gelfreih
2012年に訪れました。
観光スポットとして有名なアルバート通りの端っこにあります、地下鉄の駅も近く、周辺にはホテルも多いので観光で見かける機会があるかと思います。街中にあるので高密度で若干太っちょ、他のシスターズに比べスタイリッシュさが若干足りない感じです。
文化人アパート(Kudrinskaya Square)
- Construction: 1950-1954
- Height: 160m
- Floor Count: 25
- Use: Residential
- Architect: Posokhin
今回、Cafe Pushkinでランチを食べてここまで散歩がてら歩いてきました。
こちら用途が住宅ということは知っていましたので地味かと思い訪問も最後になったのですが、低層階にはイタリアンのレストランなどが入っており結構商業施設併設で賑やかな感じでした。でも住宅として住みたいのは、やっぱり芸術家アパートの方かな~。交通の便がいいのはこちらですが・・・
ソビエト連邦運輸建設国家委員会(Red Gate Square)
- Construction: -1953
- Height: 138m
- Floor Count: 26
- Use: Office
- Architect: Alexander Dushkin
2012年に訪れました。
これは大きさもそれほど大きいわけでもなくテナントも政府系?よく分からないんですが、滞在したヒルトンから歩いて行ける距離で、半分位の部屋からも望めるということで親近感があります。フォルムとしてはなかなかスタイリッシュでバランスがいいです。外務省や文化人アパートより好みですね。
ヒルトンモスクワレニングラードスカヤ(Hilton Moscow Leningradskaya Hotel)
- Construction: -1953
- Height: 136m
- Floor Count: 26
- Use: Hotel
- Architect: L Polyakov
2012年と2017年、ここに滞在しました。
高さ順では2mの差で負けて最下位でした。一応階数は26階建ということですが、ホテルの部屋があるのは19階までで、中央のエレベータもそこまでしか行けません。19階が黄色に光っている下のフロアですので、黄色の部分に2フロア、その上の円柱、円錐はありますがどう26フロアになるのかは不明です。場所が中心地から離れていることもあり周りに高層ビルがなくどの部屋からも眺めが期待できるのもメリットです。
料金も比較的リーズナブルですので個人旅行で行かれる方にオススメ出来ます。
まとめ
最初は、1回目の訪問時に全部回ろうとしていたのが途中で断念、2回目でも回りきれず、3回目の今回の訪問でようやくセブンシスターズを制覇しました。
いい加減な実行です。これもまた、気に入ればまた行けばいいという旅行スタイルのなせる業なのかもしれません。ここまでもかなりいい加減なのですが、実は、モスクワ大学と芸術家アパートは全景が見渡せるところまでで建物の足元まで行ってきません。写真がイマイチなこともあるのでまた取り直しに行こうかと思います。その際は、モスクワ大学は横幅450mも何とか分かるような写真を撮ってこようかと思います。
ちなみに各建造物の諸元はこちらを参考にしています。
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