那覇から100kmほど離れた美ら海水族館に行くのであれば合わせて訪れるとよいスポットを紹介します。
今帰仁城跡
アクセス
美ら海水族館から5kmほどの距離にあります。レンタカーの方は余裕でしょうが歩いていくのはちょっときつい距離です。丘の上にありますしね。
そんな時に役に立つのは、ヤンバル急行バス(再び)です。那覇空港、那覇市外から美ら海に向かう空港線と、この地域だけで運行している四島線があります。いずれも、水族館前、オリオンモトブバス停に発着しますが、今帰仁城跡側は空港線のバス停は城跡から1km程度離れたところになります。その点四島線の方が便利ですが、城跡を通る四島線は1日5便程度しかないので、片道は空港線やむなしです。
私たちは、オリオンモトブでランチを食べた後、行きは空港線、帰りは四島線を使いました。料金は往路ともに300円/人・片道でした。決済はカード、非接触、QRコードといろいろ使えました。
往路
オリオンモトブのバス停留所はメインの車寄せになります。壁際にはバスの時刻表が貼られています。時刻表はホテルのインフォメーションで確認できます。
空港線はかなりの長距離路線ですので多少の遅れがあります。(多分)時間前に行ってしまうことはないので気長に待ちましょう。一応リアルタイムバス情報がありますので確認できます。
空港線の場合は、今帰仁城跡入り口は次の停留所になります。観光バスで使われる車体で、前乗り前降りですので、前方の席に陣取ります。
10分かからず「今帰仁城跡入り口」の停留所に到着です。今帰仁城跡入り口という真苗ではありますが、ここから今帰仁城跡までは1km程度とそこそこ離れています。また、上り坂ですので距離以上に疲れます。
まずはバス停から来た道をちょっと戻ると進行方向左手に今帰仁城跡のサインがあります。そこから森の中の上り坂を進みますが、両脇の木々からはコーン、コーンと耳をつんざくかなり強めの鳴き声が気になります。
20分程度で、今帰仁城跡前の「今帰仁村グスク交流センター」に到着しました。ここでバス停の時刻表を発見、四島線なるものがあることを発見しました。便数は少ないものの、帰りにちょうど使えそうな便がありましたので時間を意識しつつ見学に向かうことにします。
復路
帰りは狙い通り、「今帰仁城跡前」のバス停から四島線で帰りました。四島線は小型の路線バスタイプでした。
琉球王国のグスク関連遺産群
グスクは「城」を意味します。歴史はあまり得意ではないですが、沖縄となるとさらに曖昧です。沖縄では、13世紀からグスク時代というこの城を活用した統治が進んだようです。全盛期は三大勢力があり、この今帰仁城は北部を収めた北山王が構築したということです。
その後、(那覇を含む)中部を統治していた中山(首里城を本拠地)の尚巴志により滅ぼされて北山としての歴史は閉じたということです。その後は、このグスクに北部地域の管理のために監守が置かれましたが、1609年に薩摩軍の侵攻により火災で消失、以後は拝所として残されているということです。
それでは、今帰仁城跡を散策します。今帰仁城は、複数のエリアが城壁で区切られて1つの城を構成しています。今現在はほとんどの建物は残っていません。バス停近くの今帰仁村歴史文化センターには、模型があります。当時の建物イメージが欲しいところですがどんな建物だったかは分かってないようです。
外郭(がいかく)
比較的低い城壁に囲まれたエリアになります。なだらかな丘陵に現在は芝が広がり気持ちがいい空間です。今は芝生ですが、当時は複数の屋敷があったということです。
先ほどの今帰仁村グスク交流センターからは公道を横断してきましたが、それらしい城壁、門もなく境界が不明瞭です。正面の大きな城壁は大隅(ウーシミ)との壁郭ですが本土とは違って曲線なのが独特です。
平郎門
ここから先は制限エリアとなり入場料が必要になります。大人600円ですが、オリオンモトブのツアーデスクで買うと2割引の480円で購入可能です。
すいません、並ばれていますか???空いているので進んでいただいて、、、先、よろしいでしょうか???先客がいましたが、先に対応してもらいました。
窓口の方にバス停を降りてから続いているコーン、コーンという鳴き声の事を聞いてみました。奄美大島、沖縄北部に生息するオオシマゼミの鳴き声ということでした。シーズンは8〜11月ということですのでこの時期に訪れる方は頭がおかしくなりそうな位強烈な音量ですが是非堪能ください。
ゲートを入った石畳の通路の両側にはカンヒザクラの並木が続きます。建造当時からあったのかは不明ですが咲いたら綺麗そうですね。シーズンは1月中旬〜2月上旬ということです。
大隅(ウーシミ)
メインストリートから進行方向左手に大きな区画があり、大隅(ウーシミ)とのことです。戦時に備え馬を養い、兵馬を訓練した場所です。そのためほかに比べて壁の高さが一段と高いということですが、敷地の中には岩がむき出しになっているところもありここで兵馬の訓練というのは難易度が高そうです。
カーザフ
メインストリートの右側はこんな切り立ったエリアです。カーザフと呼ぶらしいですがカーは川や湧泉を、ザフは迫で谷間を意味するということです。ここで水を汲んでいたのでしょうか???
奥に道路や今帰仁村グスク交流センターの屋根なども見えますが、その手前までがかつては城内だったようです。
さらに先に進みます。
旧道
今現在は、メインストリートの延長線に新たな階段が整備されていますが、かつては大きな岩盤の谷間の曲がりくねった道が城内へ続く唯一の道だったようです。防衛機能上から幅は狭く急なのぼり道となっています。どちらからも進めます。
階段を上り切ったところが、大庭(ウーミャ)というエリアです。大庭を取り囲むように正殿(主郭)、北殿、南殿の建物が配置されていたと考えられていますが今は何もありません。行事等に利用された重要な広場ということです。
御内原(ウーチバル)
大庭から左手に隣接した区画が御内原になります。帰仁城跡に仕えた女官の生活の場所と伝えられ、城内でも神聖な場所ということです。建物が何も残ってないのが残念ですね。
ただ、ここからの眺めは最高です。大隅(ウーシミ)、外郭越しに海まで望めます。当時は馬の訓練の様子なども見渡せたのでしょうか。そして、エメラルドグリーンの海が美しいです。
主郭
御内原、大庭に接する形で主郭があります。ここが城の本丸のエリアになります。ここは発掘調査により建物の変遷などが明らかになっているようです。礎石と思われる石が残されています。また、火神の社が残されてはいますが、当時の建物なのかは定かではありません。いずれにせよ素朴な形ではありそうです。
志慶真門郭(しげまじょうかく)
本丸からさらに奥、標高は下がった場所が志慶真門郭ということです。こちらは、城主に仕えた身近な人々が住んだと考えられ、4つの建物があったことが分かっているとのことです。降りられますが、登ってくる事を考えるとここら辺からの見学でいいかと、階段踊り場からの見学に留めます。
番外:オオシマゼミ
これで一通りの城内見学が終了しました。この後は、コーンコーンと鳴くオオシマゼミの姿を確認すべく音源を頼りに目を凝らします。なんとか発見、写真に収めることができました。
大音量の割にはそれほど大きくないセミでした。本記事を書くにあたり調べてみたらツクツクボウシ属ということで、確かにサイズ、透明な羽などツクツクボウシに似ています。
今帰仁村歴史文化センター
城跡を一通り見て回った後は、バスの時間まで併設の今帰仁村歴史文化センターを見学しました。分かりやすい模型があるので復習に最適です。出土品の中には、玉陵で見たような骨壷?もあり、同じ文化圏ということがよく分かります。
フクギ並木
四島線のバスでホテルに戻った後は、隣接しているふくぎ並木を散策しました。
防風、防砂を兼ねて維持されてきたようで独特な街並みです。夫婦福木やシーサーが複数置かれた場所など面白い場所もありました。
防風林から抜けた海辺からは、地域のシンボル伊江島が正面に見えます。エメラルドの海と1隻だける漁船が絵になります。
まとめ
せっかく美ら海水族館まで行くのであれば、周辺の今帰仁城跡、フクギ並木も訪れてみてはいかがでしょうか。
今帰仁城跡は建物は残っておらず、城跡のみで地味ですが、かつてのグスク時代の遺跡から素朴ではありますが、一定の規模を持つ統治時代のスケールは感じることが可能です。とはいえ、首里城よりは小規模で力関係は想像がつきます。中国との交易が進んでいたようで、文化センターでは当時から現代にかけての生活の道具類などもみられ、当時の生活に関しても情報が得られます。
フクギ並木は、遺跡よりはライトで、リゾートとはまた一味違った独特な雰囲気で散策が楽しめます。カフェやちょっとした飲食店などもありそこでゆっくりするのも一案かと思います。
那覇から1.5〜2時間かけてせっかく北部に向かうのであれば、水族館と合わせて訪れるとより充実したものになるかと思います。
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