中央アジアでの移動はYandex Go!が安心・便利です。ウズベキスタン、ジョージア、カザフスタンで活用してきましたので、実例ベースでご紹介します。
タクシーの課題
僻地の観光で苦労するところといえば近距離交通です。鉄道、地下鉄、バスなどの公共交通機関、ポイントtoポイントでは、タクシーを利用することが多いと思います。中でも特にトラブルになりがちなのがタクシーです。トラブルとしては以下のようなものになります。
- 適正な価格
メータータクシーでない場合は、タフな値段交渉が必要になることが多いです。特に観光地では吹っ掛けられたりして交渉に無駄な労力を要することがあります。また、メータータクシーの場合でも都市によってはメーターが改造されていて高額になるトラブルも見受けられます。 - 目的地が分からない
日本ではタクシー運転手は資格試験があるので、地域の主要なスポットであれば分からないことは稀です。一方で、海外ではタクシードライバーのほとんどが移民といった都市もあります。そうした都市では目的地を伝えるのも一苦労というケースもあります。 - 遠回り
メータータクシーであれば安心かといえば、距離を稼ぐために遠回りされるケースもあります。その場合、お金だけでなく時間も無駄にすることになり、二重のダメージとなります。
ライドシェア
そんな問題を解決するイノベーションとしてライドシェアが急速に広まりました。
ライドシェアは金額の不透明さの解消とともに、あらかじめ金額が決まることで遠回りする意味がなくなり、またフィードバックの仕組みがトラブルの抑止力になっています。さらには一部の地域では電子決済が使える点もメリットです。
一方で、フランスなどでは、タクシー対ライドシェアでの衝突、ボイコットなどが起こったりもしました。また、日本などの一部の国では、人を運ぶ旅客運送事業が許認可業種に指定されており、ライドシェアが参入できない国もあります。(UBERは日本では予約タクシー、フードデリバリーで事業展開しています。)
ライドシェアは世界最大勢力のUBERの他に、東南アジアではGrab、台湾では滴滴出行、そして、今回訪れた中央アジア&コーカサス各国などCIS諸国ではYandex Taxiがサービスしています。
Yandex Go! のサービス提供地域
今回私たちが訪れる地域の中では、ウズベキスタン、カザフスタン、ジョージアはYandexが対応しています。アゼルバイジャンは、UBER、Yandex Go!とも対応しておらず、Boltなど別のプラットフォームが必要になります。
ちなみにYandex Go!の対応国は、一時期は18カ国1,000都市以上まで拡大していたようですが、ウクライナ侵攻後、一部の国ではサービス停止になっているようです。
- ロシア
- 中央アジア:キルギス、カザフスタン、ウズベキスタン
- 北欧:
ラトビア、リトアニア、フィンランド - 東欧:ベラルーシ、
ウクライナ、モルドバ、ルーマニア - コーカサス:ジョージア、アルメニア
- バルカン:セルビア
- ほか:イスラエル、象牙海岸、ガーナ、ボリビア
複数カ国を周遊するケースは特に、訪れるエリアでサービス提供が多いものを選択し、あらかじめ準備しておくのが便利です。
事前準備(出発前にやっておくこと)
利用準備は日本でやっておくことをお勧めします。
私たちはYandex Go!は事前準備していったので使えましたが、アゼルバイジャンのBoltは事前準備していきませんでした。空港でBoltをインストールしたのですが、、、本人確認がSMSで、楽天モバイルは当該国でローミング対象外だったため認証できず、、、結果的に利用できませんでした。
日本で設定できるので可能な限り日本で設定しておきましょう。
準備の仕方
アプリをインストールし、ユーザアカウントを登録するだけです。多くのサービスは本人確認/運転手との連絡手段として電話番号を使うのでSMSにより電話番号の認証を行います。
そして、多くのサービスはマルチカントリー対応で、SMSも国際コード対応になっています。日本にて、日本の電話番号でも登録、認証可能です。電話番号は国コードからの登録となることが多い点はご注意ください。
国コード付きの電話番号への変換は、以下のとおりです。
例) 070-xxxx-yyyyの場合、+81-70-xxxx-yyyy
ハイフンは人間が見やすいように入れているだけですので実際には入力しません。一方、+は識別コードですので、実際入力が必要なケースがあります。多くのアプリは国番号は選択式になっているかな・・・
クレジットカードの登録
多くのライドシェアアプリはクレジットカードでの決済に対応しています(一部地域では対象外となるケースあり、後述)。クレジットカード番号の漏洩などを気にする方もいるかもしれませんが、毎回現金のやり取りをするのは手間なだけでなく、慣れない通貨で桁間違いや、運転手側がお釣りを持っていないなど面倒なケースに繋がることも多いです。特にUBERやYandex Go!のようなグローバルサービスはしっかりセキュリティ対策がされているので、クレジットカード決済の方がメリットが大きくお勧めです。
クレジットカードは、Yandex Go!はVISA、マスターカードしか対応していませんでした。
事前準備は以上です。あとは現地で使うだけです。使う際にはインターネット回線への接続が必要ですので、ローミング、もしくはグローバルWifiなどの通信環境が前提となります。
Yandex Go!
実際の使い方は以下の通りです。
リクエストの仕方
乗る場所、降りる場所、車のタイプ、決済方法、チップなどを調整してリクエストをします。
- 場所の入力は、ランドマークやホテル名などで検索できますが、地図上のピンの位置が正しいかを確認して、必要に応じて正確な位置の微調整が必要です。その点で、地図が苦手な方の中にはタクシーの方が楽と思われる方もいるかもしれません。
- 車のタイプは、高くなるほど快適になることになっていますが、コンフォートでもエアコン稼働は稀です。殆どのドライバーは、燃費節約 → 収益最大化のために窓全開での営業です。一回だけタクシーが来てエアコン稼働でしたが、法人なのでガソリン代が会社持ちなんでしょうね。
- 決済のサポートは都市により異なり一部現金オンリーの都市があります。
- チップのデフォルトの設定値が集客に影響があるのかちょっと不明です。チップは決済後に確定、変更できますが、チップを期待して受託するケースがあるのであれば、基本的にリクエスト時の金額を払ってあげるべきでしょうね。どのみち格安なので10%を標準にしていました。
車の見つけ方
リクエストをすると、ちょっとして車がマッチングします。すると、ドライバー名などとともに、あと何分で着くか、車種、色、ナンバーなどの情報が来ますので乗車場所で探します。位置情報もほぼリアルタイムで表示されるので見つけるのはそれほど難しくないと思います。もしどうしてもダメな場合は、画面上の”Contact Driver”でメッセージ、電話が可能です(使ったことないです)。
乗ったあと
標準ルートと現在地、推定到着時間などが表示されるので、必要に応じて確認します。状況確認ができるのは安心ではあります。
ウズベキスタン:タシュケント
エコノミーとコンフォートの差はほとんどないです。空港からホテルまでの8km、20分の乗車で24,750sum (300円ちょっと)です!安い〜
カード決済可能です。エコノミーでもコンフォートでもこんな感じの車でした。
ウズベキスタン:サマルカンド、ブハラ
この地域はクレジットカード決済が使えず現金決済オンリーでした。その点で便利さは一歩落ちますが、それでも白タク、バスよりは断然安心・便利です。
レートはタシュケントと同じくらいですかね。ただ、街がこぢんまりとしており1.5〜2km程度の中途半端な移動が多くなりがちです。それらは7,000sum(100円)程度です。上述の通り現金決済なので実際の支払いは毎回キリのいいチップ込み10,000sum(125円)になるのはしょうがないです。
サマルカンド駅と市街地の移動は6km程度で20,000sum(250円程度)です。
おまけ
サマルカンドでは珍しく綺麗な車が来ました(ですがよく見ると後輪スペアタイヤですね・・・)。で、このドライバーが悪いわけではないですが途中追突事故にあいました。そこそこの衝撃でしたが、リアハッチの開閉などに問題ないか確認するとまあいいやという感じで解散になりました。追突したおっちゃんは、かなり感謝していました。このおおらかな雰囲気は見ていてほっこりしますね。
バンパーなんだから、本来それで良い気もします。
ジョージア:バトゥミ
空港からコンドホテルまで4.5km、13分の乗車でGEL 13〜16(700〜900円)です。街中で近距離で乗る分には、GEL 5(300円)程度で使いやすいです。中央アジアから行ったの最初高く感じましたが、日本のタクシーに比べたらこれでも全然安いですね。カード決済可能です。
カザフスタン:アルマティ
アルマティは空港が市街地から14km程度と遠く、また、深夜1時過ぎの到着でしたので何かしらのトランスファーが必要でした。ホテルからはKZT 7,000(2,100円)でオファーがあり、それでも安いと思いましたが、Yandex Go!はさらに安くKZT 2,000〜2,900(600〜900円)でした。幅があるのは、混雑具合で値段が変わるためです。アルマティ市内での移動は300円程度でこれも安いです。
そして、カザフスタンはかなりホスピタリティが高く礼儀正しい運転手が多いのが印象的でした。
注意点は、Yandex Go!が安くて使いやすいからとKok Tobe(丘の上の展望台&複合施設)まで行こうとすると、目的地指定はできますが実際は一般車侵入禁止で途中で降ろされ、シャトルバスに乗り換えることになるのでご注意ください(有料、結構高い、、、詳細はいずれ別記事にて)。
コンフォートでこんな感じの車でした。荷物の出し入れも率先して手伝ってくれます。
まとめ
控えめに言って超便利です。今まで新興国を旅する中で一番面倒だったタクシーの課題を完全に解消してくれます。また、1つのアプリで中央アジア/コーカサスの多くの地域に対応していることも周遊派にとっては便利でした。
値段交渉も不要、多くの地域では決済も自動、ただアプリの利用において、乗車位置、降車位置を指定することになるので、地図を読めない方には多少難易度が高いかもしれません。ここはアドバイスが難しい部分ですが、グループの中で地図が読める人が担当するのがいいでしょうか。
ライドシェアにより機動力は確実にアップします。また、私たちはBoltの設定をSMSを受信できるところで事前に準備していなかったのでバクーでは使えず悔やまれました。そうしたことにならないよう、旅行前に設定をすることを強くオススメします。