モスクワ世界遺産~ノヴォデヴィチ女子修道院群~
ロシアにある世界遺産の一つ、ロシアゴシック様式の最高峰と呼ばれている修道院が、モスクワ中心部から地下鉄でちょっといった場所にあります。地下鉄を降りて、徒歩10分、修道院見学に40分、裏手にある湖を散歩して30分、修道院に併設された墓所を散策して30分、地下鉄往復も入れて合計2時間もあれば行って帰って来れるお手軽な観光地としておススメです。
修道院
地下鉄1号線のスポルティーブナヤ駅(Спортивная)を出て少し歩くと修道院が見えてきます。…あれ、大々的な工事中の気配。怪しい雲行きです。
修道院入口でチケットを購入して入ります。入口は分かりにくいですが、この建物を目指しましょう。1枠に1羽という感じで鳩がたくさんとまっています。
本来なら看板写真にある修道院のシンボルであるスモレンスキー聖堂の、丸みのある金と銀の玉ねぎ頭の塔が見えるはずなのですが、、、
案の定、工事中でその姿を見ることはできませんでした。
が、修道院の中は緑が多くのどかな雰囲気、静かな空気が流れています。草木や花々も美しく手入れされているので、お庭を散策するだけでも楽しめます。
半分くらいの建物が工事中でした。一部、工事していない建物を見て回っただけでも十分に見応えがあり楽しめたので、いつか工事が終わったら、天気の良い日に再訪するのも良いかと思いました。
こちらの建物の中はちょっとした展示があり、ホールの板間の感じなども趣がありました。半世紀程度の歴史ある修道院だということを改めて感じます。
この建物の先にお墓があるのですが、中からは通れないようです。
クレムリンの寺院群に比べると密度は薄く、建物自体も一回り小さい&若干地味な気がしましたが、広い敷地に観光客も少なく、ゆっくりと見学することができました。
白鳥の湖
修道院の裏手には、冬場はスケート場として賑わった時代もある湖が広がっています。有名なクラッシックバレエ「白鳥の湖」の舞台ともなったと言われています。作者のチャイコフスキーもスケート好きで何度も訪れていたそうです。修道院から歩いてすぐです。遠くに見えるモスクワ新市街の近代的なビル群と、ロシアらしいどんよりした空がいいですね。さて白鳥の湖ということですが…
シーズン的にいるのは鴨ばかりでした・・・
でもフワフワした羽毛のヒナが可愛らしいのでOK。とてものどかな公園です。
湖の周りをぐるっと一周してみます。対岸から見たノヴォデヴィチ女子修道院。修復済み部分なのでしょうか、白い壁が湖にも映って美しいです。こうした修道院はクレムリン同様、要塞の役目を果たしていたというのも、この壁の感じを見ると納得です。
湖を一周して修道院の北側から回って、南側にある墓地に向かいます。10分くらい線路沿いの道を歩くことになるのですが、写真のような朱色と白の電車を何台も見ることができました。小高い線路が真っすぐに続いておりなかなかのトレインビューです。白樺並木も気持ちいい。
墓地散策
墓地といっても、お寺の裏手にあるお化けの出そうなイメージとは、規模も雰囲気も違います。入口からして豪華です(若干の古臭さはありますが)
入口付近に墓地の地図があります。今は入口なので、マップ下側の6と5の間の切れ目、ゲートの両側にはちゃんとトイレもあるようです。ロシア語(キリル文字)で読めませんが、どこに著名人のお墓があるのかが記載されています。もはや観光地です。
墓地の中は、相当広いです。真っすぐ通り過ぎると一瞬ですが、左右にお墓エリアがあるので、それらを見てくねくね歩き回るとかなり時間もかかります。
中央付近にあって人だかりができていた、こちらの大きなモニュメントは、ロシア初代大統領のエリツィンのお墓です。ロシア国旗をイメージしたもの。
そして、ロシアサーカスで国民的人気ピエロ役者だったニクーリンさんの墓地も有名です。
木陰に腰かけて愛犬と共にいる姿は印象的です。もちろん私は生前の彼を全く知りませんが、このお墓の前に立つことで、彼をとても身近に感じられることができ、良いお墓だなと思いました。隣はバレリーナ、こちらも有名な方なんだと思います。
墓所内には一般人(と言っても貴族など特別な身分の方だと思います)のお墓も多くあり、笑顔の写真をツヤツヤの石に彫ったものや、立体的な顔の彫刻、愛犬や私物を象徴的に彫刻したものなど、様々なかたちのお墓がありました。家族からのメッセージや讃える言葉を刻んだものも多く、お墓と言うと寂しいイメージがありますが、とて心温まる場所だと感じました。広い青空美術館のようで、一つ一つ見て回って想像するとあっという間に時間が経ってしまいます。
まとめ
この散策コースは、文化的な世界遺産とロシアバレエ名作の舞台、そして異なる文化の墓所を1~2時間で手軽に回ることができるので、おススメです。
特に墓所は一見の価値アリです。死者と生者の関係や価値観が古い日本のそれとは異なっており、何か違った刺激を受けることができると思います。斬新なデザインのお墓も多く見応えあるので、最近はやりの「終活(しゅうかつ)」の参考にされてみてはいかがでしょう。
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