パンダ
成都で一番の観光スポットはやはりこのパンダ基地になるでしょう。パンダは地球上で(野生には)中国にしか生息していない大型哺乳類ですが、大きな頭に垂れ目の黒い模様で非常に愛嬌のあるフォルムの動物です。大きいのに竹しか食べないという独特の生態も特徴的です。
実際には、生存競争/気候変動といった要因で、誰も食べないいっぱいある竹を食料とした経緯があるようです。そして固い竹を噛み砕くために顎を動かす筋肉が発達し、体に対して大きく、丸っこい顔になったようです。ということで、決して可愛い感じを狙ってああなったわけではなく、自然の摂理の中からあのフォルムになったようです。それにしても転がったり平和な振る舞いなどもライバル、天敵がいないことからなのでしょうか。一方で、自己繁殖能力が低く絶滅危惧種になっており、中国においても積極的に保護、人工的な繁殖も進められています。
日本のパンダ
野生のパンダは中国にしかいないですが、中国はこの変わった動物を外交に使っており、日本に対しても古くから研究名目で貸与しています。2022年現在、日本では、上野動物園、和歌山のアドベンチャーワールド、神戸市立王子動物園の3施設で計13頭のパンダが飼育されています。この数を多いとみるか少ないとみるかは判断が難しいところですが、中国以外での国別の頭数としては1番です。そういえば、私たちはパンダの実物はここに行くまで見た記憶はありませんでした。
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地
そのパンダですが、中国での生息数は推定2000頭前後、保護施設での飼育頭数が600頭程度とのことです。そして、その飼育頭数のうちの200頭、実に飼育されているパンダの3分の1、地球上のパンダの8%がこの成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地で飼育されています。
というすごい施設があるので、パンダに興味のない方も成都に行くのであれば一度訪れてみてもいいかと思います。
立地
成都の中心部から10km程度北東の方向に行ったところにあります。当時は地下鉄もなく、陳麻婆豆腐店からお手軽にタクシーで行きました。
基地内
広さは67万m²(東京ディズニーランドの1.5倍位)ありかなり広いです。有料の循環バスみたいなのがありますので足腰に自信のない方は活用してもいいかもです。敷地はかなりきれいに整備されています。そして、ここでも霧?モヤ?で霞むタイミングもあり幻想的でした。
パンダは中国人にとってもレアなようで中国各地からも観光客が訪れているようでした。
場所によってはこんな吊り橋などもあり散歩としても楽しめます。
ブラックスワン
さて、入場後に最初に遭遇した動物は、、、ブラックスワンでした。ブラックスワン(黒い白鳥)は、「予想ができないけど発生した時の衝撃が大きい事象のこと」を指す金融用語として使われますが、元々は白鳥は全て白色と信じられていたのが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことにより鳥類学者の常識が大きく崩れることになった事例からきているようです。そのブラックスワンがここにもいました。ブラックスワンを見たい方もどうぞ。
孔雀
次に見かけたのは孔雀でした。なぜか敷地全体にかなりの数の孔雀が放たれていました。指定エリアにいるのかと思いきや、、、
普通に人が行き来する通路にもでてきます。逃げちゃわないんでしょうかね・・・
ジャイアントパンダ
そしてようやくジャイアントパンダとのご対面です。まさか初ジャイアントパンダがこの姿とは、、、一切警戒している気配がなく、自宅でまったりするおっさんのようです。丸っこい体型とこうした挙動があわさって人気なんでしょうか。
隣の中国の方が声をかけても全く動く気配がありません。。。かろうじて呼吸でおなかが動くので生きていることはわかりました。
子パンダエリア
諦めて次に向かいます。子パンダのエリアに来ました。お食事中ですが、寝そべって竹の枝を引っ張って食べています。こちらもリラックスした感じです。やっぱり人間っぽい感じですね。
個体によってはどかっと腰掛けて、、、
パンダは、もともと竹を食べていたわけではないので、消化器系がまだ竹に対応しきれていないようです。十分な栄養を確保するためには、自身の体重の30%にあたる量を食べる必要があるということです。実に1日のうちの14時間を食事に費やす必要があると。なかなか大変なライフスタイルチェンジに踏み切りましたね。
中国の発展にあわせて竹藪が減ってきたことが生息数の減少に影響していたようです。今現在は、保護活動により個体数は増加傾向に向かっているようです。
ハンサムパンダ
この子は白黒がはっきりしている個体でした。顔立ちも凛々しいです。大きく丸っこい顔は、竹を噛みちぎるために筋肉が発達した影響ということです。今現在は草食なのでそうした事態が起こるかは不明ですが、もし手などを噛まれた際は一撃のようです。目も模様で垂れ目に見えますが、実際の目はキリッと釣り目とのことです。
と聞いても、やっぱりそんな野生の雰囲気は感じられません。騙されますね。
夕方16:30に檻に戻すようですが、扉が開くのが待ちきれずに時間前に出入り口にたむろします。まるで仕事が終わって帰るような、行動がいちいち人間のようで。。。見に行く方は16:00位までがオススメです。
変わった動物です。公開頭数は日によって変わるようですが結果的に20〜30頭は見た気がします。世界で一番、パンダが見られる施設というのも頷けます。
プラスでお金を払うことで、パンダの抱っこや一緒に写真を撮ったりもできるようですが、結構高額でそこまでは踏み込みませんでした。
レッサーパンダ
途中レッサーパンダのエリアもありました。レッサーパンダは比較的日本の動物園でも見られる動物ですが、こちらも絶滅危惧種です。生息地域は、ジャパンとパンダよりは広く、中国に加えて、インド北部、ネパール、ブータンあたりの南アジアにかけてということですが絶対的に頭数は少ないようです。
もともと、ジャイアントパンダが発見される前はこちらがパンダと呼ばれていたようです。ジャイアントパンダが発見され、次第にそちらをパンダと呼ぶようになり、ジャイアントパンダより「小さい方」ということでレッサーパンダ(lesser panda)と呼ばれるようになったということです。
また、生態上はジャイアントパンダとレッサーパンダは、類縁性はないことが最近分かってきているということです。指の数も、ジャイアントパンダは6本に対して、レッサーパンダは5本で違います。一応、レッサーパンダもタケやタケノコを食べるようですが、他に小型哺乳類、鳥類の卵、昆虫、動物の死骸、果実、地衣類なども食べ雑食性のようです。ここのはドッグフードみたいなのを食べていました。
ふれあい展示
ふと、目の前を歩いているレッサーパンダを見つけて混乱しました。よくみると思いっきり柵に穴が空いていました。これは公認のようです。
しばらくついていくと別の穴から自分のエリアに入って行きました。
丸っこい体型は似ていますね。色合いもおしゃれです。こちらも変わった動物です。
素心蝋梅(そしんろうばい)
そして、重慶でファンになった蝋梅もありました。やっぱりいい匂いです。日本の金木犀のような位置付けでしょうかね。冬の中国の香りです。
蝋梅ということで、確かにロウで固めたような色合いです。
17時も過ぎ多くのパンダは寝床に戻っていますので、私たちも帰ることにします。
まとめ
特にパンダのファンというわけではないですが、成都に行ったらここにはいくべきでしょう。保護施設ではありますが世界一のパンダ密度です。施設全体で200頭おり、一度に日本に生息しているパンダ頭数以上のパンダが見られます。
敷地としてもかなり広く余裕があり、パンダの生息している自然を再現しているようにも見受けられます。パンダは生態としては、1日のうち14時間竹を食べている時間になりますが、これだけの頭数がいるとその状態以外のパンダにも出会すことができ楽しめます。やはり愛嬌のある体型と仕草で、パンダの人気の高さがよく分かります。
レッサーパンダは、ジャイアントパンダに押されて目立ちませんがこちらも希少動物です。歩道に出てくることもありますのでその点でも楽しめます。
パンダファンでなくても十分楽しめるかと思います。場所は成都の都心部から多少距離があり不便ですが成都を訪れるのであれば、ぜひ一度訪れることをオススメします。
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